~ Prologue ~
This time, we invited Mr. Mouri of Business Career Innovation Co., Ltd. who is engaged in recruitment work centering on medical field, and received opinions from various perspectives regarding recruitment. To Mouri, I am indebted with the adoption of consultants at our company and adoption at our client organization. I hope that there will be noticed a little even from this dialogue how to raise the power of recruitment.
【Ms. Yoshie Mouri Profile】
東京学芸大学教育学部卒
1989年株式会社リクルート入社。経理部にて財務会計及び管理会計、総務部にてBPRに携わる。
1998年株式会社リクルートエイブリック(現 株式会社リクルートキャリア)出向。
2000年同社へ転籍。女性の転職支援事業の立ち上げや幹部層の斡旋事業に携わる。
2005年8月株式会社トランスサイエンス・キャリア取締役就任。
2008年1月株式会社ビジネスキャリア・イノベーション取締役COO就任。
Components
(1)~「人を技能スペックだけで採用しても、事業はうまくいかない」~
(2)~「企業側も転職者側も、目的や条件を初めから整理できているわけではない」~
(3)~「経営者は、自らの言葉でメッセージを伝えるべき」~![]()
~「人を技能スペックだけで採用しても、事業はうまくいかない」~
CDIM:人材紹介のお仕事に就かれた背景を教えていただけませんか。
毛利:初めに入社したリクルートで、上司との繋がりがきっかけとなり、人材紹介のビジネスに携ることになりました。現在の株式会社リクルートキャリア(旧株式会社リクルートエイブリック)がその企業です。
1989年にリクルートに入社した後、経理に6年間、総務に3年間、主に管理部門を中心に仕事に携っていたのですが、せっかくリクルートにいるのだから、いつかは事業に直接、かかわりたいという思いを抱いていました。その中で、上司から声を掛けてもらえたのが現在のビジネスにかかわっている切掛けです。ちょうど1998年、入社10年目のことでした。
私のミッションは、女性に注目した人材紹介ビジネスの立上げでした。女性のキャリア形成や女性の雇用創出です。
CDIM:まさに日本で女性の社会進出やキャリアアップが注目され始めた頃ですね。
毛利:そうですね。男女雇用機会均等法が施行され、総合職の女性採用が徐々に増えてきた頃ですね。ただ、98年頃は人材紹介自体が黎明期にあり、転職希望者も男性が中心でした。キャリアアップ目指す女性が転職先を見つけるには「とらばーゆ」という雑誌があったくらいでしょうか。
「どうすれば認知、理解してもらえるか」から考えはじめ、様々なメディアチャネルを検討したのを懐かしく思います。
CDIM:今でこそ女性の社会進出、キャリアアップは一般的になりましたが当時はそのような苦労があったのですね。
毛利:今ではありえない話ですが、当時は性別を求人条件で指定することができました。女性でもOKという求人はなかなか無かったですね。人材紹介会社の認知を高めるとともに、キャリア女性のための求人を集めることにも注力しました。
言わば、需要と供給の両面から市場を喚起した格好になります。
ちょうどその頃、ITバブルの後押しを受けて、ベンチャー企業の立ち上げや、外資系企業の国内参入で採用市場が盛り上がり、雇用マッチングにつながっていきました。
CDIM:そのプロジェクトは何人くらいで始めたのですか?
毛利:そうですね、当時2名のメンバーでこのミッションに臨んだと思います。その後、徐々に拡大し、最終的には20名くらいのチームになっていました。そうした経験が現在の会社の立上げの源泉にあるように思います。
CDIM:その後は女性に限らず、幅広い形で事業を拡大させていったのでしょうか?
毛利:その後は、幹部層を対象としたエグゼクティブサーチや若手の転職支援等の事業を拡大させていきました。私自身は、事業立上げからそうしたチームのマネジメントへと主な役割が変わっていきました。結果的に約17年半リクルートには在籍していました。その間、様々な業種や役職の方々と接する機会をえたことで知見を拡げることができ、かつキャリア・コンサルタントという仕事を好きになったので、現在もこの仕事に携っています。
更に言いますと、実は今でこそメディカル分野を中心とした人材紹介にかかわっていますが、当時はメディカルを専門にしているわけでは全くありませんでした。全くメディカル業界の知見が無いからこそ興味を抱いたのだと思います。
CDIM:その後、現在のビジネスキャリア・イノベーションの前身企業に参画されましたが、当時はどの様なお考えで新たな企業に参画されたのですか?
毛利:メディカル業界は成長著しい分野でもあり、加えて自分自身にとって新しい世界でのチャレンジでもあることに魅力を感じました。2005年当時、アーリーステージのバイオベンチャーが賑わっていたこともあり、クライアントの多くはバイオベンチャーでした。そうしたベンチャー企業の社長や幹部層を採用していくことが多かったので、企業が強くなるためにはどういう人材が必要なのか、即ち企業サイドに立って、組織を考えることができました。
以前のリクルートでは転職希望者である個人サイドに立って仕事をすることが多かったので、見識の広がりや、やりがいをとても感じていました。
CDIM:見識の広がりや、やりがいは具体的にはどのような場面で感じることがありましたか?
毛利:企業側は「○○といった人材が欲しい」と言われるものの、外から客観的に見ていると「実は、□□な人材の方が御社には良いのではないですか?」という議論になることもありました。勿論、ストレートに反論するようなことありませんでしたけどね(笑)。時には、企業側の採用担当者よりも私の方がその企業と付き合いが長く、社員の多くの方と面識がありましたので、どのような方がその組織風土にフィットして、活躍されているかを理解、整理できていました。
単純に人を技能スペックだけで採用しても事業はうまくいかないですよね。
~「企業側も転職者側も、目的や条件を初めから整理できているわけではない」~
CDIM:これまでメディカル分野以外も幅広く見てこられたと思います。メディカル分野で活躍している人材に特長はありますか?
毛利:まず背景としてクライアント側、即ちメディカル企業側の求人条件はピンポイントなものが多いです。例えば、企業研究者で疾病分野限定といった条件や医療機器の特定領域の製品といったように非常に条件が限られることが多いと思います。
それだけメディカル分野というのは専門性やスペシャリティが重視されるのだと思います。
ですから、総合系の人材紹介会社だけではなく、ブティック系の人材紹介会社も同じように、あるいはそれ以上に重宝されるのだと思います。そうした背景を踏まえたうえで、メディカル分野で活躍している方の特長は、その転職 の目的や目指すところをとても明確にされています。
CDIM:それは、企業側の専門性、スペシフィックな求人条件に対して、転職者側の目的や意図がきちんとマッチングしないとメディカル業界では難しいということなのでしょうか?
毛利:そうです。ただし、必ずしも企業側も転職者側も目的や条件を、初めから整理できているわけではありません。そういう時こそ、面接の場に同席したり、できる限り掘り下げてお話を伺ってみたりということをしながら、マッチングを図ることはたびたびある話です。
お互いに「気づき」があることは以外にありますよ。ちなみに、リクルート当時からこの仕事に17年かかわっているわけですが、今まで一度として私の方から転職を勧めたことはありません。最終的には自分たちで意思決定をし、道を切り開いていくべきだと私は思います。
私たちにできる仕事はあくまで企業や転職希望者をサポートする仕事であって、せいぜい迷っている場合に背中を軽く押してあげるくらいではないかと思います。
~「経営者は、自らの言葉でメッセージを伝えるべき」~
CDIM:経営者の方にアドバイスを頂きたいのですが、良い中途採用ができる企業と苦労している企業の違いはどの辺りにありますか?
毛利:非常に難しい質問だと思います(笑)。採用をする意図や目的、更には受入れ体制がきちんとしている企業の方が定着も良い気がします。ひとつの例として、社長は「こんな良い人材が採用できた!」と喜んでいたものの、何も話を聞いていなかったその他の経営幹部が面白くなく感じてしまい、結果的に色々な場面で抵抗にあい、うまく融合できなかったこともありました。
この場合、やはり社長が社内でのコンセンサスや地ならしといった手間をかけるべきだったと思います。もちろん、社長自らが一から十まで全てをやるというのは難しいと思いますので、社長の意をくんだメンバーが必要だと思います。
CDIM:その前段階、採用活動中での企業の違いは何かありますか?
毛利:やはりトップ、社長からのメッセージが明確かどうか、熱く語ることができるかどうかはアナログな話ではありますが、非常に重要な点だと思います。
もちろん、先に述べた様にすべてを社長が担うのは難しいでしょう。しかし、例えば営業のスペシャリストを採用したいという際に、人事の方が熱く語ってもやはりなかなか伝わりにくいものがあり、そこはやはりその企業の営業のトップが熱く語る方が伝わりやすいものがあります。
CDIM:上手い人材紹介会社の活用の仕方というものはあるでしょうか?
毛利:私たちはある意味、企業側の代弁者という立場でもありますから、一般的な求人条件だけでは伝えきれない組織風土などを仰っていただけるとより良いマッチングにもっていけるのではないかと思います。
企業の方々の「顔」が私自身広く見えているということも大事だと思います。
CDIM:医療業界では新規参入が活況を呈しています。そうした企業が良い人材を確保していくには、どのあたりを押さえていくべきなのでしょうか?
毛利:医療業界への新規参入を目指している企業から採用のご相談はあります。そこで感じるのはやはり医療分野への新規参入ということで非常に慎重になられている点です。
新規参入に際して慎重になってしまうのも良く理解できます。本業から離れ新規事業を立ち上げるうえでは、失敗した場合のご自身の立場が心配になるのも仕方がないことだと思います。しかし、既存や新規も含め多種多様な企業が虎視眈々と医療業界での事業成長を狙っていますので、スピード感も大事になってくるのだと思います。
そういう事も理解したうえで、人材採用の計画を用意周到に練り、スピーディーに実行していかなくてはならないのだと思います。
CDIM:医療機関も優秀な事務職員をよく探しているのですが、医療機関はどうでしょうか?
毛利:医療機関で採用する場合には、単に事務職員が欲しいとか、人事担当者が欲しいとかではなく、「何を担ってほしいのか」を具体的に伝えるべきだと思います。
医療機関からはなかなかそのようなメッセージが聞こえてこないですが、どうでしょうか?
CDIM:そうですね。
毛利:事務職員だけではなく、経営幹部という観点でも同じだと思います。
CDIM:良い人はいつも取合いになってしまいます。そういう際に「あの会社はいつも採用合戦に強いよな、あの方はいつも良い人材を持っていくな」ということはありますか?
毛利:そういうことはあります。
例えば、紹介した際の企業の認知度やその企業への志望度は必ずしも高いわけではないにもかかわらず、最後は条件云々ではなく、「とにかく、あそこで働きたい」と言わせてしまう素晴らしい会社、経営者の方がおられます。
やはり、その会社はトップの方自らが、複数回に渡って採用面接の時間を設けて、ご自身の言葉で会社や社員のことをお話なさっています。一部上場企業の規模で非常に珍しいことだと思います。
お会いされた方々の心が徐々に変化していくのを何度も目の当たりにしています。良いことも悪いことも含めて会社のことや、ご紹介した方に担っていただきたい役割についてじっくり話合っていらっしゃいます。
CDIM:最後に今後の貴社の事業の方向性に関してお聞かせください。
毛利:今まで通り、新しい事業を立ち上げるクライアントや変革を目指すクライアントを応援していきたいと思っています。
更には、採用だけではなく、ビジネスマッチングの機会などを通じて、幅広くクライアントの事業を小さいながらも応援していきたいと思っています。例えば、企業と企業の橋渡しをさせて頂くことや個人と個人をお引き合わせさていただくといったことです。
CDIM: Our management strategy and Ms. Mouri's talent strategy are inseparably close. I would like to continue synergistic effects from now on. Thank you very much for your time today.
(End)

