「革新的な医療機器展」イスラエル視察 Vol.2 最新医療機器動向

~まず、はじめに~

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前回のコラムでは、MEDinISRAEL2017の概要についてご紹介させて頂きました。2回目のコラムでは、MEDinISRAEL2017に出展されていた製品のうち、我々が特に注目した最先端の技術を生かしたユニークな製品について、詳しくお伝えしたいと思います。どうぞお楽しみください。

~在宅でのリハビリテーションもすぐそこに~

初めにご紹介させて頂くのは、「Video Therapy社」が開発した在宅リハビリテーション用の製品です。近年、日本においてもリモートで診療を行う遠隔診療という言葉が聞かれるようになってきていますが、イスラエルではさらにリモートでリハビリテーションを行うことが実用化されています。

製品の概要をご説明しましょう。「Video Therapy社」が提供する在宅リハビリテーション製品は、自宅で「ビデオ」を見ながら行われます。製品には、手足を伸縮したり腰を動かすといった様々なリハビリテーション運動のビデオプログラムが内蔵されており、理学療法士が個々人の容態に合わせて、複数の運動(ビデオプログラム)を組み合わせて「パーソナルプログラム」を作成します。リハビリテーション実施者は理学療法士とビデオやチャットでコミュニケーションを取ることも可能です。

さらに、リハビリテーションが行われる都度「運動データ」が記録されます。理学療法士は定期的にデータを確認し、的確な時期に的確なプログラムのアップデートを行います。リハビリテーション実施者の容態変化をこまめにくみ取り、常に最適なリハビリテーションを行うことを可能にしています。

近年、遺伝子解読技術の発展等により医療の個別化が言われていますが、リハビリテーションの世界においても個別化の動きが着々と進んでいます。

~目の動きでコミュニケーション~

次にご紹介させて頂くのは、現在「Eye Control社」が開発しているALS患者のコミュニケーションをサポートする製品です。ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経細胞が侵される難病です。病気が進行すると、筋肉がやせ細ることで運動障害が生じ、舌やのどの筋肉の力が弱まることでコミュニケーション障害に至ることもあります。「アイス・バケツ・チャレンジ」という活動や、2015年に上映された「博士と彼女のセオリー」という映画で、ご存知の方も多いかもしれません。

「Eye Control社」は、ALS患者のコミュニケーションをサポートする製品を開発しています。製品はメガネの形をしており、ALS患者がその製品を装着すると、家族や医療従事者にメッセージを発信するための様々な「オプション」がメガネの操作パネルに表示されます。例えば、「部屋の温度は暑いか?寒いか?」「いま助けが必要か?」といったオプションが目の前に表示され、ALS患者は「目」を動かすことで発信したいメッセージを選択し、コミュニケーションを取ることが出来ます。

「Eye Control社」は近い将来の製品化を計画しており、高い技術力によってALS患者のQOLを向上することが期待されています。

~次号について~

2日間に亘る医療機器展示会の翌日、我々はイスラエルを代表する2つの病院を視察し、医療の現場においても、ユニークな取り組みが実践されていることを目にしました。最終回となる次号においては、イスラエルの病院の取り組みについて、詳しくお伝えしたいと思います。

(文責:杉本)