「世界最大医療機器展」ドイツ視察記 Vol.4 医療制度・病院訪問記

~まず、はじめに~

4回シリーズでお届けしております「世界最大医療機器展」ドイツ視察記のコラムも、いよいよ最終回となりました。前回までは、主にドイツやイスラエルの企業による最先端のテクノロジーを生かした医療機器製品や遠隔治療の概要についてお伝えしてきました。

最終回のコラムでは視点を変えて、ドイツの医療制度に着目してみたいと思います。MEDICA終了後、我々はドイツ中央部エアフルトという街にある病院を実際に訪問してきました。そこで今回の最終回では、ドイツの医療提供の在り方についてご紹介させて頂きます。

~ドイツの医療制度 概要~

日本の医療制度は、もともと明治の初めにドイツの医療制度を模範に作られたようですが、今日では異なる点があります。

代表的な違いの1つが家庭医制度です。病院を受診する場合、日本では好きな病院を選択することが出来ますが、ドイツでは初めに「Hausarzt(ハウスアルツト)」と呼ばれる家庭医を受診します。その後、家庭医は患者さんの症状に応じて開業専門医や病院を紹介する体制になっています。家庭医、専門医、病院の間で役割分担を決めている点がドイツの医療の特徴と言えるでしょう。(ただし救急の場合など、直接病院を受診するケースもあります。)

ドイツの保険制度は、日本と似ている点と異なる点があります。似ている点は、ドイツも日本と同様に国民皆保険制度を有しています。ただし異なる点は、ドイツでは公的保険または民間保険いずれかに加入していればよく、一方日本では公的保険に加入してさらに民間保険に入る仕組みになっています。割合としては、ドイツ国民のおよそ85%は公的保険、15%は民間保険に加入しています。民間保険は公的保険よりも保険料が割高ですが、治療してもらう医師を選択できる等のサービスを受けることが出来ます。

~エアフルト 病院訪問~

4日間のMEDICA終了後、我々はドイツ中央部エアフルトという街を目指しました。MEDICAが開かれていたデュッセルドルフからは、東に電車でおよそ4時間の位置にあります。駅に到着してまず目に飛び込んできたのが、その美しい街並みです。エアフルトはクリスマスマーケットが有名であり、ちょうどその準備がされていました。

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翌日、我々は「Katholisches Krankenhaus」という400病床を備えるエアフルトの中核病院を訪問させて頂きました。周りに緑の多い、非常にきれいな病院です。

ドイツ語の病院名をよく見て頂くとお気づきになるかもしれませんが、もともとカトリックが母体になっている病院で、患者さんに対する親身なケアに主眼が置かれています。例えばがんの告知を受けた患者さんに対しては、専任の常駐職員による手厚いメンタルサポートが行われます。病院の中には小さな教会のような部屋もありました。

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当日はこの病院でご活躍をされている日本人医師の方に案内をして頂きました。ドイツ語で患者さんや職員の方と楽しそうにコミュニケーションを取りながら仕事をされている姿を見て、感銘を覚えました。

病院内を歩きながら多くの職員の方と挨拶をさせて頂きましたが、医師は女性の方が多く、看護師は男性の方が多いように感じました。職員の多くはドイツ人ですが、中東や東南アジア出身の方もいらっしゃいます。職種や人種を問わず、垣根のないコミュニケーションがされている様子が印象的でした。

なお職員の方の出勤時間ですが、医師は午前7時、看護師は午前6時ということです。お子様のいらっしゃる方は、午前5時台に保育所にお子様を預けてから出勤されるようです。働き方も日本と違いがあるようです。

~むすびにかえて~

4回シリーズでお届けしてきました「世界最大医療機器展」ドイツ視察記は、お楽しみ頂けましたでしょうか。今回の視察を通して、世界最先端の医療技術を直接見ておくと共に、弊社の海外ネットワークの関係維持と新たな構築が出来ました。弊社は、引続き海外展開の支援やユニークで付加価値の高い医療機器を国内へ紹介していきます。

年の瀬のお忙しいところ、コラムをご覧頂きありがとうございました。

よい年末年始をお過ごしください。(文責:杉本)