【CDIメディカルEye】医師の説明・コミュニケーション力によって患者は満足し来院しようと思う

患者が感じた不満は病院経営にも大きな影響を及ぼす恐れ

一人の患者が病院を受診して感じた不満は、配偶者、子供、親、親族、友人、知人へと広がっていきます。このようなレピュテーションの低下は、その患者だけでなく、他の患者の病院選択へも影響します。複数回、外来受診し、場合によっては入院する一人当りの医業収入を考えると経済的な機会損失はばかになりません。

患者の満足度は、重要度とセットで評価すべきです。顧客が重要と考えている項目の満足度が低いのはゆゆしきことだからです。患者に質問項目に対する満足度評価とともに重要度評価もつけてもらう方法もありますが、患者にとって何が重要なのかは、常に考えておく必要があります。

当院を選択した理由には、他の医療機関から紹介されたから、病院の評判がよいから、医療水準が高いとおもったから、近くに他に病院がなかったから、施設・設備がよいから、ずっと受診しているからなどの回答があるでしょう。この病院選択の決定要因に影響を与える項目は何なのか、何が患者満足度を高め、病院の信頼度をあげ、選ばれる病院となっていくために重要なのか、考察することが必要です。

医師の説明、コミュニケーションはうまくいっているのか

その中で、医師の説明やコニュニケーションに係る項目が非常に重要だと私は考えています。患者満足度調査では、「医師の言葉使いや態度」「医師の病状や検査結果の説明」「医師への質問や相談のしやすさ」という項目があります。これらは、大体、「非常に満足」と、「満足」で70~80%、「とちらともいえない」、を除く「やや不満」と「不満」は5%未満という結果だったりします。

しかし、私のまわりの病院を受診した人たちに聞いた病院に対する印象は、少し違っており、もっと不満の割合は多いのではないかと感じます。

診療についての不満には、次のようなものがよく聞かれます。

① 今後の見通しを示してもらえなかった
② 説明や指導がほとんどなかった
③ 医師の態度が横柄だった
④ どんな病気、病状なのか理解できなかった
⑤ 質問したことに十分こたえてもらえなかった
⑥ 医師に質問できる雰囲気ではなかった


などです。

患者満足度調査では、医師に対する不満の声は、実際に思っているよりも低く出ているのではないかという疑いを私はもっています。他の職種に比べて、実際に診療してもらっている、あるいは、これからも診てもらう医師に対して不満は回答しにくいのではないでしょうか。不満であれば他の病院へいくという選択肢をどれくらい容易に選べるのか、にも依るでしょう。

患者は病院を受診して何を求めているのか

患者が病院を受診するのは、もちろん病気の治癒が最大の目的でしょうが、安心したいということが重要な目的だと思います。不調を自覚して、不安に思って来院したところ、検査の結果、心配ないといわれたらベストです。しかし、病名が判明したとしても、今後の治療方針と見通しが示されれば、ひとり不安に思っていた時と比べ、はるかに心は落ち着くのではないでしょうか。各病院の医療レベルの違いは、ほとんどの患者には評価できないでしょう。患者は医師の説明と態度からその病院を評価しているのではないでしょうか。それが満足度につながり、病院への信頼と評判に大きく影響しているのではないでしょうか。

そして、来院につながり、患者数に影響します。医師の説明、患者とのコニュニケーションの重要性をもっと認識し、きちんと患者に伝わっているのか、患者は説明や相談対応に満足しているのか、最大限の努力を払って聞き出さないといけないと思います。

こちらから積極的に引き出さなければ本音は聞けない

医師の対する評価を、実際に受診している病院から聞かれた場合、なかなか本音で不満を言いにくいと認識しておくべきです。ざっくりとした聞き方だと、不満の声はでてこないでしょう。ここはどうですか、この点は満足していますか、と先に述べた不満に感じる可能性のある項目をあげて確認するのも一つのやり方です。

一般企業では、サービスを提供している部署とは違う部署からお客様の声を聞き出そうとする取り組みもされています。ゴルフ場では、キャディに対する不満を帰り際に玄関で友人に話していたりします。それをフロントの人間や清掃員がメモして報告する仕組みにしているところもあります。そのように、些細な不満でも聞き漏らさず満足度向上に活かそうという姿勢が必要かもしれません。

医師の説明・コミュニケーション力は病院経営にとって極めて重要

医師の患者への説明や、悩みに対する回答は、患者が病院に求めていることの中で大きなウエイトを占めており、病院の評価、信頼を高めるために重要な対応であると思います。

初診時に診断を確定できないケースもあり、診断、治療、そして維持を丹念に進行していくためには、医師および他の医療従事者は、患者に対する理解を深めつつ、患者ときちんと複数回の深いコミュニケーションをとることが大切だといわれています。医療における説明のむずかしさもありますし、多くの患者を診る中で大変だとは思いますが、診断の内容と今後の見通しを伝え、患者の質問に答え、患者の不安と疑問を解消するように話すべきです。

診断に時間がかかる場合には、最良の標準治療手順で進めていることを説明するとか、病状について注意深く観ていることを伝えるとか、患者が不安に思っていることや、家族を含めた関係性を意識して、その人/家族に合った言葉遣い、順序、内容の話をするべきです。そして、病院からの説明がきちんと患者に届いて納得されているのか、確認することは非常に重要です。

患者の来院に大きく影響する項目であることを考えると、説明や回答に対する満足度を上げることは、病院経営にとっても重要な取り組み事項であると思います。

文責:藤井 康弘

藤井 康弘(株式会社CDIメディカル シニアコンサルタント )

慶應義塾大学文学部(人間科学専攻)卒。 
ライフタイムパートナーズ株式会社、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社、他を経て、現在に至る。